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理屈よりも体の感覚が好き。直感が大事。


by hiroQ111
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北京ヴァイオリンに思う。

今日は、月に一度の映画会の日。
いつもいい映画を選んでくださるので、楽しみにして出かけた。

ハンカチはスタンバイOKだ。さあ、どっからでもかかってこい。
と思っていたが、主人公の父親は見事に明るいキャラクターだし、
ちょっとばかし出っ歯だけど、いつもニコニコしている。

この映画に悲壮感はない。
どっかで観た映画と似ているなあと思ったら
「ライフ・イズ・ビューティフル」のあの父のようでもある。
人生とは、どんなことが起ろうと、楽しみを見つけて生きることができる。


父と息子は、北の田舎町で暮らしていたが、
息子のヴァイオリン・コンクールへの出場を機に全財産を携え北京へ。
コンクールでの優勝は逃したが、チュンの才能を確信した父。
良い先生に就くことができれば息子は必ず成功できると信じ、
父は懸命に働き続ける。

そんなある日、父は、仕事の流れで、大劇場に入りこみ、
無断でオーケストラのコンサートを聴いてしまう。
ソロのヴァイオリニストに注がれる観客からの惜しみない拍手。拍手。拍手。
舞台の上では、彼の恩師が観客の前に披露される。

それを見ていた父は、息子を一流のヴァイオリニストとして成功させるには
一流の世界に生きている、この先生しかいない!と思い、
息子の指導を願うべく、自宅を訪ね、息子がいかに天才児であるかを語り始める。

息子の才能のために、自分の人生のすべてを懸ける父。


国際コンコールへの出場をかけた予選会の日。
チュンは故郷へ帰る父を追いかけ、北京駅へ。

国際コンクールの予選に出るために、今日まで練習し続けてきた
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を奏でる。
ただ、父のためだけに。

一方、チュンが出場するはずだった国際コンクール予選会場では、
ライバルのリンが出場している。

チュンが現われるまで、自分が一番うまいと思っていたリンだったが
いつも「君の演奏には心が無い」と先生から指摘されていた。
ところが、コンクールへの出場権がチュンに奪われたことで
リンは自分が音楽をいかに愛しているかに気づくことができたのだ。

リンの演奏に心の温もりが灯る。

ふたりのヴァイオリンは、場所を超えて競演するかのように響きあう。
ひとりは音楽人たちの、ひとりは駅に集う名もない民衆たちの心を魅了して
この映画は幕を閉じる。

名声とか地位とか、音楽の神の前では意味がないと言うように。

そういえば、歌うように音色を奏でる「フジコ・へミング」も。
~私の音楽を聴いてくれる人がわずかでもいれば、幸せ。
 たとえ、王様の前だろうと、貧しいひとたちの前だろうと、私は自分の音を奏でる~

音楽も映画も、もとを辿れば、ここに行き着くような気がする。
by hiroQ111 | 2004-12-16 23:26 | 何度観ても面白い!映画